中国による突然のICO禁止

2017年9月4日、中国の中央銀行である中国人民銀行は、「ICOの90%は違法な資金調達もしくは詐欺である」として、これまでに実施されたICOを一斉調査して違法性が無いかどうかチェックし、今後のICOを全面禁止すると発表しました。60ヶ所の仮想通貨取引所のリストを作っており、すべての取引所は政府に状況報告の義務があります。
過去にICOにより調達された資金も状況次第では、不正使用できないように資金を凍結する方針になっています。また、中国人民銀行は再度ビットコインおよびイーサリアムは国によって発行された通貨ではないと警告していますが、中国政府はビットコインを「仮想ゴールド」と位置付けており、利用を禁止することはないとのことです。

この影響で、どちらも自発的な運営停止としていますが、ICOage(https://www.icoage.com/)とICO.info(https://ico.info/)という中国の2大ICOトークンの取引所がサービスを中止し、新規のICOの受付も停止しています。

中国は、売買金額やマイニングの量で大きなシェアを占めており、仮想通貨市場に多大な影響力を持っています。ビットコインやイーサリアムをはじめとする仮想通貨は、1日でおおむね10~20%程度の暴落となりました。HSR、LLT、HCC、ELC、GASなど、中国企業によるICOで発行されたトークンは1日で40~50%近くも下落するものもありました。

最近、中国にてICOによる資金調達が拡大し、投資家側としても異常なほどの人気で、マネーゲーム化していて、リスクコントロールできない状況になる可能性が高まっており、投資家保護の観点からICOによる詐欺の防止やマネーロンダリング対策が主な目的でICOの禁止につながったと考えられています。2017年にICO市場へ流入したチャイナマネーは39億ドルもあると言われています。

中国による仮想通貨への規制は今回が初めてというわけではなく、今までにも何度かこのように規制されるということはありました。
例えば、2013年に中国当局が暗号通貨取引を禁止したことがありました。その際には、元を通貨として仮想通貨を取引することが不可能となり、発表後は仮想通貨は半値以下まで大幅に下落しましたが、その後、元を通貨としての取引ができるようになり、値上がりに転じて新高値を更新していきました。
そのように、規制があってもそれをものともせずここまで相場が上がってきていることから、今回の下落は一時的なもので、絶好の買い場だと考えている人も多数います。

ICOとは?

ICOとは、Initial Coin Offeringのことで、暗号通貨経済におけるIPOのようなものです。
具体的には、企業が独自に発行するトークンを投資家に販売し、仮想通貨を使って資金調達を行います。調達する仮想通貨は、多くの場合は、イーサリアムが利用されています。そしてそのトークンが仮想通貨取引所に上場され、投資家たちは取引できるようになります。
2017年に入ってから、ICOは世界各地で大幅に増加し、ICOによる資金調達金額は、16億ドルを超えています。また、ゴールドマン・サックスのレポートによると、2017年上半期にICOにより資金調達された総額は、ベンチャーキャピタルによる株式でのアーリーステージの投資額を上回ったと言われています。
中国は、世界で最も仮想通貨に対して活発なコミュニティを擁していて、今回のICOブームでも資金調達企業側、投資家側のどちら側でも中心的な役割を果たしてきました。